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ゾウ(ぞう) [ 日本大百科全書(小学館) ]
【象】
elephant
哺乳(ほにゅう)綱長鼻目ゾウ科に属する動物の総称。この科Elephantidaeの現存する仲間には2属2種がある。
[ 執筆者:齋藤 勝 ]
1. 分類
アフリカゾウ属LoxodontaのアフリカゾウL. africanusは、サハラ砂漠以南のアフリカ全域に分布しているが、その分布域は狭められてきている。アフリカゾウL. a. africanus、マルミミゾウL. a. cyclotisの2亜種が知られ、体長6~7.5メートル、体高3.5メートル、体重6.5トンに達する。これまでに知られる最大の個体は、1955年にアンゴラで捕獲されたもので、体高4メートル、体重10トンとされている。牙(きば)は雄で3.58メートルのものも知られている。亜種のうち、アフリカゾウはサバンナややぶ地にすむが、マルミミゾウは森林地帯に分布し、前者に比べて体は若干小さい。このほかアフリカ大陸には、ピグミーゾウといわれるさらに小形のゾウの記録がみられるが、個体変異と考えられている。
アジアゾウ属ElephasのアジアゾウE. maximusは、インド、スリランカ、インドシナ半島、マレーシア、インドネシア、中国南部に分布し、4亜種が知られている。体はアフリカゾウに比べてやや小形で、体長5~6.4メートル、体高2.5~3メートル、体重4~5トンほどである。亜種のうちセイロンゾウE. m. maximusはスリランカに分布する。雄の牙は最大2.1メートル、52キログラムの記録があるが、長い牙を有する個体は全体の10%であるのが特徴で、大陸に産するアジアゾウより体は小さい。インドゾウE. m. bengalensisはネパール、アッサム、ベンガル北部、南インドに分布する。雄の多くが牙を有し、最大で3.17メートルのものが知られている。一般にアジアゾウ全体をインドゾウとよぶ場合が多いが、これは正確ではなく、分類学上はこの亜種のみをさす。スマトラゾウE. m. sumatranaはスマトラ島に分布する亜種で、ほとんどの雄が長い牙を有する。マレーゾウE. m. hirustusはマレー半島に分布し、雄は長い牙を有し、他の亜種に比べて皮膚が肉色を呈しており、黒く長い体毛が生えている。
[ 執筆者:齋藤 勝 ]
2. 形態
ゾウは陸上に生息する動物のうち、もっとも大きなものである。その大きな体を支えるための四肢は太く、それぞれの足には5指があり、それらの指は共通の肉塊の中に収まって、指を包む肉塊全体がクッションの役割を果たしている。体の表面には太い毛が全体に粗雑に生え、尾の先端には房状の長い毛が生える。特徴といえる鼻は、上唇とともに長く伸びて2メートルにも達し、4~5万ほどの筋肉からなっていて、人間の手と同様の働きをする。餌(えさ)を口に運ぶばかりでなく、飲み水も鼻の中に吸い上げて口に入れるが、その量は1回に5.7リットルにも及ぶ。耳は大きく、とくにアフリカゾウが顕著で、放熱器官の役割を果たす。歯式は上顎(じょうがく)の門歯は無根で終生伸び続け、牙いわゆる象牙(ぞうげ)になる。臼歯(きゅうし)は上下1対ずつ生えており、新しい歯が後方から古い歯を押し出す形で生え換わり、幼時に3回、成獣で3回、計6回の生え換わりがみられる。
消化器系は反芻(はんすう)動物に比べて単純な構造で、胃は単一である。あるアジアゾウの成獣の計測値では、小腸20メートル、盲腸1.1メートル、大腸9.4メートル、肝臓の重量は45.5キログラムである。肺は37キログラムほどあり、胸膜腔(きょうまくこう)はみられない。心臓は14.8キログラムであるが、アフリカゾウでは25キログラムほどである。
脳はアジアゾウ、アフリカゾウともに5~6キログラムほどで頭部は大きく、頭を支える頸(くび)は短い。脳を守る頭骨は蜂(はち)の巣状の構造をしており、重量の軽減がなされている。
[ 執筆者:齋藤 勝 ]
3. 生態
森林やサバンナに雌とその子からなる群れで生活し、大きな群れではその数が60頭にもなることが知られている。雄は雌の群れの周囲で生活し、年をとった雄は単独で生活することがある。群れは早朝と夕刻に採食しながら移動するが、その速度は普通時速4~6キロメートルほどである。しかし、危険を感じたり攻撃をしかけるときには、時速40キロメートルほどの速さで走ることができる。日中は水浴を好むが、水浴後アブやサシバエなどから身を守るために体に土を吹きかける。
餌は木の葉、枝、草、竹、果実などで、1日に成獣で300キログラムが必要とされる。水は1日70~90リットルが必要で、乾期には水を求めて移動し、干上がった川底から足を用いて水を掘り当てる術をもつ。
アジアゾウ、アフリカゾウともに妊娠期間は20~22か月で、普通1産1子であるが、まれに双子の例が知られている。動物園での出産例では、アフリカゾウの新生子は体高90センチメートル、体重113キログラム、出産後15~60分で起立することができる。アジアゾウの子もほぼ同じ大きさで生まれる。生まれた子ゾウの哺乳は、鼻を使わず直接口から吸引する。子は3~4歳まで雌親とともに過ごし、雌の場合9~12歳で繁殖が可能になり、健康な雌では一生の間に6頭ほどの出産がみられる。寿命はアフリカゾウ、アジアゾウともに60~70年である。
雄のゾウとくにアジアゾウでは、目と耳の間に位置する側頭腺(せん)からタール状の分泌物を分泌するマストという時期がみられる。数時間から数か月間続くこの時期の雄ゾウは、非常に攻撃的になるため、使役に利用するゾウではこの兆しが消失するまで係留する。マストの状態は雌やアフリカゾウにもみられるが、詳しくはわかっていない。
アフリカゾウとアジアゾウの雑種は、野生の状態では考えられないが、飼育下ではごくまれにみられる。1978年にイギリスのチェスター動物園で、雄のアフリカゾウと雌のアジアゾウの間で雄の雑種が出産したが、生後10日ほどで死亡している。
[ 執筆者:齋藤 勝 ]
4. 進化
現存するゾウは2属2種であるが、4000万年前にさかのぼることのできるゾウの進化史上には多数のゾウが現れるため、その進化の過程を知ることができる。分類学的には海牛とハイラックスはゾウに近縁の動物と考えられている。
これまでに知られているゾウの化石のうちもっとも古いものに、北アフリカの新生代第三紀漸新世の地層からみられるメリテリウムがある。体高70センチメートル、体長3メートルのこの動物は、ゾウとはほど遠い体形をしているが、上顎の門歯が犬歯より長く、ゾウの祖先であることをうかがわせる。これよりゾウに近い動物として、同じ北アフリカに同時期に生息していたと考えられるパレオマストドンは、体高1~2メートルで鼻はメリテリウムより長く、上・下顎の門歯は牙状になっており、中新世以後に現れるマストドンゾウの系列につながるものとして知られている。マストドンゾウは体高2~3メートルで多くの種が知られているが、200万年前から1万年前にかけて地球上から姿を消している。中新世後期にステゴロフォドンが出現した。ゴンフォテリウム(いわゆる長顎マストドンゾウ)とステゴドンの中間型の臼歯をもつステゴロフォドンは、体も大形で鼻も長く、現存する2種のゾウやマンモスゾウはこれから枝分れしたと考えられている。
日本からは、鮮新世から中期更新世にかけていくつかのゾウが知られている。それらは、ボンビフロンスゾウ、エレファントイデスゾウ、アケボノゾウ、アカシゾウ、トウヨウゾウ、ムカシマンモスなどである。また、よく知られているナウマンゾウは、100万年ほど前に東南アジアから移動してきたもので、現存するアフリカゾウの系統とされているが、体高は2.5~3メートルほどでアフリカゾウより小形である。
[ 執筆者:齋藤 勝 ]
5. 利用と飼育
人間は古くから陸上最大の動物であるゾウを利用してきた。これは、大脳の発達がよいゾウを訓練により意のままに動かし、その強大な力を利用できることに起因すると考えられる。アジアでは紀元前2500~前1500年、モヘンジョ・ダーロの出土品のなかに、アジアゾウを使用していたと考えられるものがみいだされており、アレクサンドロス大王の時代にもアジアゾウを戦象として使用したことが知られている。
アフリカゾウについては、北アフリカに分布し現在は絶滅した小形のものを、古くカルタゴ人が利用したことがよく知られている。なかでも、前254年にカルタゴ軍のハスドルバルが140頭ものアフリカゾウをシチリア島の首都パレルモを陥れるために使い、同じカルタゴの将軍ハンニバルは前218年に37頭のゾウを引き連れてピレネー山脈を越えたことなどがよく知られる。アフリカゾウの利用はその後例をみず、1909年になって旧ベルギー領コンゴ(のちザイール、現コンゴ民主共和国)に国立のゾウ訓練所が設置されたが、アジアゾウの使用ほどには至らなかった。一方、アジアではその後もゾウは家畜として扱われ、自動車の発達に伴って利用価値が減ってはいるが、林業などに重要な働きをしている。
日本へのゾウの渡来は、1408年(応永15)にアジアゾウが1頭若狭国(わかさのくに)(福井県)にもたらされたのが最初とされ、その後も何頭かのアジアゾウの記録がある。動物園での飼育は、1888年(明治21)に東京の上野動物園にもたらされた2頭のアジアゾウが最初である。
アフリカゾウの渡来はそれよりはるかに遅く、1953年(昭和28)に1頭が巡回動物園で飼育されたのが最初で、動物園で飼育されたのは1965年に石川県の金沢動物園(いしかわ動物園の前身)の1頭が最初である。1975年以後、サファリ形式の動物園が各地に開園し、かなりのアフリカゾウが飼育されるようになった。
[ 執筆者:齋藤 勝 ]
6. 現状と保護
アフリカゾウは、1979年には推定130万頭がアフリカ大陸に生存していたが、国際自然保護連合(IUCN)のアフリカゾウ専門家は、1998年時点で30万1000頭から48万7000頭と推定した。一方、アジアゾウはIUCNによって14か国に3万4594頭から5万0998頭が生息しているとされた(2000年調査)。いずれのゾウも、生息地の縮小と象牙のための密猟でその生息数は減少していると考えられている。1976年より、両種ともにワシントン条約による保護の対象動物である。
[ 執筆者:齋藤 勝 ]
7. ゾウと人間
インドやミャンマーでは、ゾウはチーク材など重い物の運搬に欠くことのできない家畜として用いられており、ゾウの調教師というのはインドではマハウト、ミャンマーではコジイとよばれて一種の専門職になっている。かつては、戦車にかわる乗り物としても広く利用されていた。宗教的な説話にもよく登場し、なかでも摩耶夫人(まやぶにん)(釈迦(しゃか)の母)が、天から降りたった1頭の白ゾウが自分の体内に入る夢をみると、しばらくして釈迦が誕生したという話は有名である。神聖な動物と考えられている白ゾウは、サマンタバダラ(普賢菩薩(ふげんぼさつ))の乗り物としても知られ、タイやミャンマーでは王位の象徴となっている。
アフリカでは、18世紀のダオメー王国で女性戦士の戦車としてゾウが用いられたことが知られているが、家畜として用いられることはほとんどなく、もっぱら象牙を目的とした狩猟の対象であった。とくに東アフリカ産の象牙はインド産のものに比べて大きく、しかも軟らかいため細工に適し、9世紀ごろからは本場であるインドへも輸出されていたという。19世紀に象牙の需要が急増すると、東アフリカ内陸部には、ゾウ狩りを専門とする部族も現れた。これらの首長国の多くではゾウは首長位と結び付き、領内で狩られたゾウの牙(きば)2本のうち1本は首長に権利があるとされていた。このようにゾウが尊重されたのは、動物の王としてばかりでなく象牙交易をめぐる経済的利権も関係していた。
[ 執筆者:濱本 満 ]
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